まばゆいばかりの光を放って、廃棄コロニーが姿を消す。おそらく、傍にいればどれだけ厚い装甲を持ったMSでも同じように消えていただろう。
「……とりあえず、被害が出なくてよかった」
 そう言って、キラは緊張を解く。そうすれば、一息に疲労が押し寄せてきた。しかし、まだここで気を抜くわけにはいかない。
「後は、あちらが諦めてくれればいいんだけど……」
 それは難しいだろう。
 何よりも、とキラは吐息をはき出しながら付け加える。
「これの本体を潰さないと、また、同じようなことが起きるね」
 これほど大きな規模のものではない。だが、同じようなものをヘリオポリス時代に見た記憶がある。
 その時見たものと同じであれば、これはあくまでも中継器としての役目しかない。
「きっと、そこにジプリールもいるはず」
 キラがそう呟いたときだ。
『キラ? 大丈夫かな?』
 回線越しにラウの声が響いてくる。
「はい。すみません、ちょっと考え事をしていました」
 直ぐに指示を……と続けようとした。
『大丈夫。帰投の指示は出してあるよ』
 だから後は自分たちだけだ。彼はそう続ける。
「……すみません」
 自分がしなければいけなかったのに、とキラは言い返す。
『気にしなくていい。それよりも、我々も戻ろう』
 何か気になることがあるのであれば、戻ってから聞いた方がいいのだろう? と彼は続ける。
「はい。もっとも、ザフトは気付いているのかもしれませんが……」
 そう言い返したときだ。
『なら、ボルテールで一休みしていかねぇ?』
 不意にディアッカが口を挟んでくる。
「ディアッカ?」
 いきなり何を、と思いながら聞き返す。
『……なんて言うか……ラクス嬢がいると出来ない話って言うのもあるからさ』
 ラウが一緒なら問題はないだろう? と彼は続ける。
「一応、僕はオーブ軍の最高司令官なんだけど」
 ついつい忘れるけど、とキラは言い返す。
『君はそれでいい。フォローなら私たちがすればいいだけだからね』
 それに、とラウは続ける。
『せっかくのお誘いだ。受けても構わないだろう』
「ラウさん」
『何かあれば、ディアッカがハウ嬢から非難されるだけだしね』
 復縁の可能性は完全に消えるだろう、と彼は笑った。
『それは……』
 怖いことを言わないでください、とディアッカはは即座に言い返してくる。
『ならば、君が気をつけるのだね』
 せいぜい、と告げる彼の声に笑いが混じっているのは、キラの聞き違いではないだろう。
「ラウさん、楽しんでいませんか?」
 ディアッカをいじめるのを、と思わず聞き返してしまった。
『許可が出ているからね。ハウ嬢の』
 元凶は彼女か、と思わず呟いてしまう。
『ミリィ! それはないだろう!!』
 ディアッカはディアッカでこう叫んでいるのが聞こえた。
「本当に、何をやったんだよ、ディアッカ」
 これ以上、何も言うことが出来ない。
 しかし、それを抜きにしても彼らと話をした方がいいような気がする。だが、ミリアリアの話も聞かなければいけないだろう。あの時のメンバーで、今も一緒にいてくれるのは彼女だけなのだ。
 でも、と悩む。
「とりあえず、案内してくれる?」
 話をしなければ進まないか。そう結論を出すと、キラはこういった。



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最遊釈厄伝