それでも、この三年の間にそれなりに経験を積んだからか。実際の話し合いとなれば彼らは真面目に応じている。その様子には自信すら感じさせた。しかも、アスランのそれとは違って自分の目から見てもそれは彼らの成長にふさわしいと思える。
 それはやはり、自分たちの行動で周囲の者を黙らせなければいけないという事から身に付いたものだろう。
 だとするならば、アスランも本気で突き落としておくべきだっただろうか。
「……とりあえず、情報の共有に関しては問題がない。ジプリールを捕縛した後のことも、だ」
 オーブ側からの提案にイザークはこう言い返している。
「基本的に、こちらから提案しようと思っていたことと同じ内容だからな」
 さらに彼はこう付け加えた。
「そうですか」
 なら、問題はないですね……とキラは微笑む。
「そうだな」
 後問題があるとすれば、と言いながらイザークはラウへと視線を向けた。
「どうして、貴方がここにいるか……ですね」
 納得できるまでは引き下がらない、とその表情が告げている。そう言う頑なさは相変わらずか、と思う。
「……僕が拾ってきたからだよ」
 あの時、とラウが口にするよりも早くキラは口にする。
「誰にも邪魔されずにゆっくりと、話をしたかったから」
 そう付け加えたのは、きっと、自分がどのような存在かをごまかすためだろうか。
「……何で?」
 ディアッカが即座にこう問いかけてくる。
「って言うか、俺、お前が隊長を連れてきたことも知らなかったけど?」
 あのころはまだ、アークエンジェルにいたんだが、と彼は続けた。
「運んだのはエターナルだし……結構、ごたごたしていたから」
 ディアッカとはゆっくり話をする余裕もなかったし、とキラは苦笑を返す。
「それに……内緒にしておいて欲しいって頼んだんだ。あの時、ラウさんは死にかけていたし」
 あの時点で治療を中断すれば話をする前に命に支障が出かねなかったから、と彼女は続けた。
「なるほど。確かに、俺はさっさとプラントに戻ったし、お前は姫さんとオーブに帰ったか」
 隠そうと思えば隠せたな、とディアッカは頷く。
「一応、カナーバ元議長には話は通してあった、って聞いているけど」
 そう言ってキラは首をかしげた。
「……まぁ、そのあたりはどうでもいい。ただ、どうして今まで誰にも知らせなかったのか、だ」
 怒鳴るようにイザークが疑問をぶつけてくる。
「セイランがうるさかったから」
 それ以外の理由はないよ? とキラは言い返す。
「確かに……あいつらのことだ。カガリを蹴落とす理由にしかねなかったからな」
 さらにバルトフェルドがこう言って頷く。
「言っておくが、こいつらがくっつくとは誰も思っていなかったぞ。わかっていたら、徹底的に邪魔してやったんだが……」
 流石にくっついた後に邪魔するのは野暮だからな……と彼は苦笑を浮かべた。
「一応、デュランダル議長はご存じだよ」
 カガリと一緒に顔を合わせているから、とキラは言う。
「ディオキアでも話をしたが……何も言われなかったね」
 処分については、とラウは苦笑を浮かべる。
「君達ならどうするかね?」
 逆に聞き返す。
「議長が納得されているなら、我々はそれに従うだけです」
 イザークは即座にこう言ってくる。
「ま、キラがその人でいいって言うなら、いいんじゃね?」
 個人的には複雑なものがあるが、とディアッカが苦笑を浮かべた。
「しかし、アスランがよく黙っていたな」
 二人の結婚について、と彼は続ける。
「だって、気づいておりませんでしたもの、あの人」
 あきれますわね、とラクスがため息をつく。
「確かに、式は挙げておりませんが……お二人が同室になったことで気が付くものではありませんの?」
 さらに彼女はこう付け加える。
「……同室……まぁ、夫婦なら、当然のことか……」
 その瞬間、イザークが真っ赤になった。
「さすがはアスラン」
 相変わらず、キラに夢を持っているのか……とディアッカはディアッカで口にしている。
「とりあえず、現実を突きつけさせて頂きましたが……どうなっているのでしょうか」
 よかったら、確認してくださいません? と微笑むラクスに逆らえる人間がいるものか。そう思わずにはいられないイザーク達の反応だった。



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