それから直ぐに、ザフトのブルーコスモスへの攻撃が行われた。
 それだけではない。
 その背後にいた《ロゴス》と言われる者達の存在をもギルバートは表沙汰にした。その瞬間、彼らに搾取されていた民衆の怒りが爆発したのは当然のことなのだろうか。
 だが、これは何かが違う。
「大丈夫だ。適当なところでザフトが介入するはずだよ」
 そう考えてキラが顔をしかめれば、ラウがこう言ってくる。
「そのためにアスランも呼び戻されたのだろうしね」
「猫の手でも使いたいというところだろう」
 さらにバルトフェルドが口を挟んできた。
「しかし、後ろ盾を失ったセイランがどう出るか……」
 今現在、オーブはセイランの後ろにいるブルーコスモスに掌握されている。だが、おそらく今回のザフトの作戦でそのブルーコスモスは壊滅するだろう。その稼がなくなってセイランが暴走しないかどうか。
 それがわからない。
 バルトフェルドはそう続ける。
 だが、自分たちがそれを判断するわけにはいかない。
「カガリ」
 どうするのか、と言うように視線を向けた。
「……いい加減、ここでやきもきしているのもあきたし、アスランも〆終わったからな。帰るか」
 ついでにユウナも〆る、と続けながらカガリは指を鳴らし始める。
「ですから、指が太くなりますわよ、カガリ」
 指摘するのはそこなのか、と言いたくなるセリフをラクスが口にしてくれた。
「私の指はいいんだよ。キラのそれだと色々と困る人間がいるがな」
 いい加減、指輪の一つでも贈ってやればいいものを……とカガリがラウへと視線を向けた。
「エメラルドのいいものが見つからなくてね」
 さらりと彼は言い返す。
「まぁ、ダイヤモンドでもいいが……」
 どちらがいい、と真顔で聞かれて、直ぐに言葉を返せない。
 と言うよりも、ここでそんなセリフを聞くとは思ってもいなかったのだ。
「……どっちでもいいです!」
 とりあえず何かを言い返さなければ、と思って言葉を綴る。
「ラウさんが贈ってくれるものなら、何でも嬉しいですし」
 そう言えば、彼は小さな笑みを浮かべた。
「なら、心して選ばないとね」
 そして、こう言い返してくる。
「あらあら。当てられるわね」
「そうですね。独り身には目の毒です」
 マリューとミリアリアが即座に口を挟んできた。
「……ミリィはディアッカにねだればいいじゃん」
 ぼそっと呟くようにキラが言い返す。
「ディアッカかぁ……イザーク優先がなければ考えるんだけどねぇ」
 ふっちゃったし、とリズムをつけながらミリアリアが笑う。
「でも、ディアッカはまだそう思ってないみたいだよ?」
 メールを読んでいると、とキラは言い返す。
「まぁ、この戦争が終わったら考えて上げるわ。あいつ次第よね」
 今のままでは絶対に無理だろうけど、とミリアリアは笑う。
「そうよね。恋人より他人を優先する男は最低だわ」
 マリューも同意をするように頷いて見せた。
「……それは、難問だね」
 ぼそっとラウが呟く。
「アスラン並みのすり込みが入っているようだからね、ディアッカには」
 彼が真顔で付け加えた瞬間、その場にいた者達は耐えきれずに吹き出していた。

 だが、そんなほのぼのとした空気は直ぐに打ち砕かれた。
 ブルーコスモスの盟主ロード・ジプリールがオーブに逃げ込んだと報告があったのだ。その手引きをしたのが誰か、言わなくてもわかるだろう。
「あの馬鹿者が……」
 カガリが怒りを隠せないという様子ではき出す。
「ともかく、すぐに帰りましょう」
 オーブに。キラはそう言うと仲間達の顔を見つめた。



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