戻ってきたラウ達が意外なものを拾ってきた。
「……拾いものが得意なのは僕だと思っていたのに……」
 まさか、ラウもそうだったなんて……と、キラは呟いている。それが何を指しているのかわかっているのだろう。ミリアリアとラクス、そしてマリュー達が苦笑を浮かべている。
「ともかく、後は君に任せるよ、カガリ」
 自分の役目はここまでだ、とラウは言う。
「そうですわね。皆様と話をするのはあなたの役目ですわ」
 彼等がそうしたいと思っている相手はカガリだ。だから、じっくりと話し合ってこれからどうするのかを決めればいい。ラクスもそう言って頷く。
「その間に、わたくしたちはお茶をしましょう」
「それがねらいだな、ラクス!」
 彼女の言葉に、カガリがこう怒鳴る。
「いやですわ。わたくしはキラが疲れているだろうと思って提案しているだけですの」
 オーブの軍人達が来なければ、カガリも誘う予定だったが……と彼女は微笑む。
「……ごめん、ラクス」
 しかし、それをキラが断った。
「キラ?」
 信じられない、と言うようにラクスが彼女の顔を見つめる。
「先に約束していたことがあるから」
 だから、ごめんね……とキラは言葉を重ねた。
「それに……静かなところにいたいし」
 ラクスとお茶をしていると、きっとバルトフェルドが乱入をしてくる。他の者達も同様ではないか。そう付け加えられては彼女もこれ以上反論できないらしい。
「カガリの方が片づいたら、ミリィも誘ってお茶にしよう?」
 それまでは休ませて欲しい。そう続ける。
「仕方がありませんわ。キラの体調の方が優先ですもの」
 こういいながらも、彼女はラウをにらみつけてきた。きっと、キラが約束をしていた相手、と言うのが誰なのかわかったのだろう。
「……そう言うことですから」
 だからといって、引き下がる予定はない。心の中でそう呟きながらラウは笑みを返す。
「そうだな。その間に、ラクスにはあちらとの事を話し合っておきたいし」
 色々と、と付け加えたバルトフェルドの言葉の裏に隠されている意味に気が付いたのか。キラもカガリも苦笑を浮かべている。
「そうですわね。そちらが優先でしたわ」
 おそらく、あちらから接触があるだろう……とラクスも頷く。
「ですが、それでしたらラウさんも同席していただいた方がよろしいのでは?」
 どうしても、彼女は自分とキラの邪魔をしたいらしい……とラウは心の中で呟く。
「キラの希望優先だろう」
 それに、ラウがどうしたいかは確認してある。
「これ以上ごねると、しばらくお茶に付き合ってもらえなくなるぞ」
 さらにこう付け加えられては、ラクスもこれ以上だだをこねられなかったらしい。
「仕方がありませんわね。わたくしとしても癒しの時間が欲しかったのですが……」
 カガリは十分に堪能したのに、とわざとらしいため息を吐く。
「だから、次はキラの癒しの時間だろう?」
 と言うよりも、本来であればそれが最優先だ。直接先頭に出ていないラクスのそれは後回しにされても仕方がない、とバルトフェルドが厳しい口調で告げる。
「お前も、だんだんアスランに似てきたぞ」
 さらに付け加えられた言葉が、一番、彼女にはショックだったらしい。
「わたくしが、アスランに……ですか?」
「そう言われても仕方がないな。もっとも、あいつほどストレートじゃないが」
 カガリにまでそう言われて信じられないというような表情を作る。
「……いけませんわね。気をつけないと……」
 それでも、ラクスのよいところは指摘されると直そうとするところかもしれない。
「ごめんなさい、キラ。お茶は後でいいですわ。ですから、ゆっくりと休んでください」
 自分は、アスランをどうしたら会見の場から遠ざけられるか。それを考えることに先年をする。その言葉から判断をして、ラクスは彼に八つ当たりをすることに決めたらしい。
「こっちこそ、ごめんね」
 そう言って微笑むキラの肩にラウはそっと手を置く。
「では、解散と言うことでいいな。とりあえず、話がまとまったらそれぞれ報告、だな」
 いいな、と言われて誰もが頷いた。
「キラ」
 ただ一人、彼女だけが少し釈然としないという表情を作っている。
「ラクスも、あれは自分のワガママだとわかっているのだから、気にすることはないよ」
 だから、部屋に行こう。そこで好きなだけ甘やかしてあげるよ……と囁けば彼女は頷いて見せた。



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