「……総士、こんなのは……」
 いやだ、と一騎は口にする。だが、それを許してやれる余裕は総士にはなかった。
「じゃ、やめる?」
 こう言いながら、総士は下から一騎を軽く突き上げる。
「ひぁっ!」
 次の瞬間、一騎の身体が硬直した。同時に、彼の内壁が総士を痛いまでにきつく締め上げた。
「ここは止めて欲しくないみたいだね」
 くすりっと笑いながら総士はこう指摘をする。
「……やだ……そんな事……」
 言うな……と一騎は呟くように口にした。そしてバランスを取ろうとするかのように総士の胸に手をおく。一瞬置いて、彼は驚いたように目を丸くした。
「……はやい……」
 そしてこう口にする。
「一騎が……締めつけるからだよ」
 くすりっと笑いながら、総士は小さく腰を揺らした。
「やぁっ!」
 それだけでも一騎には大きな衝撃になったらしい。激しいまでの反応を彼は見せる。今にも泣きだしそうに歪められた眉が総士をさらに煽った。
「一騎……」
 吐息とともに彼の名を呼ぶと、総士は一騎の手を彼のそれへと導く。そして自分の指を絡めるようにして握らせた。
「……何……?」
 一体、何をさせようとしているのだろうか。そう思っているのだろう。不安そうな瞳が総士を見つめてくる。
「手伝ってやるから……自分でやって見せて?」
 その方がもっと気持ちよくなるよ? と総士は笑う。
「……で、きない……」
 そんなこと……と一騎は顔を真っ赤にする。
「本当に?」
 ほら……といいながら、総士はゆっくりと指を動かした。そうすれば、必然的に一騎の指も自分自身に刺激を加えてしまうことになった。
「やっ……やぁっ!」
 内壁を刺激され、過敏になっている体にはつらいなどという刺激ではなかったらしい。今にも倒れそうなくらい、一騎の体は大きくのけぞった。それを、総士は自分の手を彼の腰に添えることで支える。
「気持ちいいだろう?」
 締め付けがきつくなった……と指摘してやれば、一騎は違うというように首を横に振って見せた。
 本当に今日はどうしたのだろうか、と総士は内心眉を寄せる。
 いつもであれば、もうそろそろ快感に理性が負けているはずなのに、と。
 あるいは、先ほどの戦闘での高揚感が一騎の中から抜け切れていないからか。それとも、ここが誰でも入ってこられる休憩室からなのか。
 どちらかといえば、後者の可能性が高いだろう、と総士は思う。
「大丈夫……今日は、誰も来ないよ」
 だから、僕におぼれるんだ……と総士は口にする。そしてそのまま激しく一騎の体を揺さぶり始めた。
「あっ……あぁぁぁぁぁぁっ!」
 この動きに付いてこられないのか。
 一騎の唇から甲高い悲鳴が飛び出す。
 だが、体の方は教え込まれた快感を享受し始めたらしい。総士の動きに会わせて、腰が揺らめき始めた。
 それだけではない。
 彼の手がなくても、一騎は自分を慰めている。
 その事実に、彼は気づいているだろうか。
「……かわいい、一騎……」
 だが、そうして快感をむさぼっている彼の姿は、総士を満足させてくれる。自分の思い通りに動いてくれる彼は、まさしく自分だけのものだと実感できるのだ。
「だから、もっとかわいいところを見せてくれるよな?」
 そして、自分を満足させてほしい。
 体だけではなく心も。
「……やっ……そう、し……」
 どうやら、完全に快感が理性に打ち勝ったらしい。一騎の表情がとろんととけている。それも、総士が好きな彼の表情だ。
「何が、いやなんだ?」
 そんな彼に向かって、こう問いかける。
「……もっと……ね?」
 甘えるように一騎の唇がこう告げた。
「わかった」
 この問いかけに、総士はうなずく。そして、そのまま彼も一騎と快感を強要するために動き始めた……





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