「……ぁっ……」 胸の上を移動していた総士の指が乳首にたどり着く。そのまま指先で押しつぶされるように刺激されて、一騎は小さな声を漏らす。 「だめ……」 「何が、だ?」 教えてくれ……と総士は一騎の耳元で囁いてくる。そのたびに耳にかかる吐息も、一騎に快感を与える。 「やぁっ……もっ、と……ゆっくり……」 感じすぎていやだから……と一騎は何とかはき出した。 「そう言えば……いつもより早いか?」 息が上がるのが……と総士はまじめな口調で呟く。 「……バカ……そんなこと、言うな……」 恥ずかしいから……と一騎は訴える。 「恥ずかしがっているときの一騎が可愛いんだから仕方がないだろう」 総士がしれっとした口調でこう言ってくる。今まではそんなことを口にしたこともなかったのに、どうしてなのだろうか……と思わずにはいられない。 それとも、自分の気持ちを一騎に伝えようとしているのだろうか。そうであるのなら、うれしいとは思う。思うが、はやり恥ずかしさは消えない。 「それに……自分でしていなかったのか?」 離れていた間、と総士は総士でさらに一騎の羞恥を煽ってくれる。 「……だって……」 そんな気持ちにならなかったのだ、と一騎ははき出す。道生達に捕まってからと言うもの、ほぼ二十四時間、監視されていたようなものだから、と。 「それだけ、か?」 しなかった理由は、と総士は楽しげな口調でさらに問いかけてきた。 「……総士……」 何でそこまで言わなければいけないのか……と、一騎は泣きそうになる。できることなら察して欲しい、とも。 「教えてくれないと、わからないだろう?」 それなのに、総士はこう言ってくる。 「いいこだから、一騎……教えてくれ」 自分たちは、それですれ違っていたのだから……と彼は付け加えた。 「……だって……」 なら、胸を刺激する手を止めて欲しい、と一騎は思う。そのせいで言葉が声にならないのだ、とも。 「だって、何?」 しかし、総士はさらに刺激を強めてくる。あるいは、そうやって一騎の反応を見て楽しんでいるのだろうか、彼は。 「自分でしても……気持ちよくない……総士が、いい……」 自分に快感を教え込んでくれたのは彼だから、彼以外の誰も快感を与えてくれないのだ、と一騎は羞恥に耐えながら口にする。 「本当に、お前は……」 可愛いよな……といいながら、総士は一騎の体を抱え上げた。そしてそのままベッドの上に移動する。 「いいよ。もっと気持ちよくしてやるから」 だから、素直に声を出して……といいながら、総士は服の上から一騎の中心に触れてきた。 「んぁっ!」 それだけで、一騎の体は大きく跳ね上がる。 「ここ、きつそうだな。脱ぐか?」 指先で柔らかな刺激を加えてきながら、総士が問いかけてきた。 「ん……ぬ、ぐ……」 さすがに、ここで制服を汚してはいけない。そんなことが史彦にばれたら、何を言われるかわかったものではないだろう。それが自分だけならいいが、総士にまでとばっちりが行くのはまずい、と一騎は判断をする。そして、自分で脱ごうかと手を伸ばす。 「脱がしてやるよ」 しかし、それよりも早く総士がこう口にすると、一騎の下半身から布を取り去ってしまった。 「……ぁっ……」 いきなりそこを直接空気にさらされて、一騎は呆然としてしまう。だが、次の瞬間、そこをしめったなま暖かいものが包み込んだことの方に驚愕を覚えてしまった。 「総士……!」 そんなこと……と一騎は付け加えようとする。だが、その言葉が声になることはなかった。総士の舌が、一騎から快感を引き出すかのようにうごめきだしたのだ。 「あっ……あぁっ」 その代わりに、甘い声が一騎の唇から飛び出す。 一騎のその反応が総士を満足させたのだろうか。彼の舌がさらに濃厚な刺激を加えてくる。 「だ、だめ……」 そんなことをされたら我慢できなくなる、と一騎はうわごとのように呟く。総士の口の中にはき出すなんて、できない……とも。 「僕はかまわないって、言っているだろう?」 だから、我慢する必要はない……と口にしながら総士は敏感な部分に舌先を割り込ませてきた。 「ひぁっ!」 ここしばらく処理をしていなかったからだろうか。それとも、総士に触れられているからか。既に一騎は限界に近かった。 だが、何度もしたことはあるとはいえ、やはり総士の口にはき出すのはいやだ、とも思ってしまう。 「あっ、あぁっ」 だが、総士の行動まで全て読み取れていたわけではない。 気が付いたときには、後ろに彼の指の感触があった。しかも、いつの間にかそれはしっかりとぬれている。 「やぁっ!」 その指が一気に根本まで滑り込んできた。 「ひっ……ひあぁぁぁぁっ!」 その衝撃に耐えきれずに、一騎は欲望をはき出してしまう。 肩で息をする一騎の耳に、総士が何かを飲み込む音が届く。それが何であるのかわかっているだけに、羞恥で消えたくなってしまった。 「いいこだね、一騎」 だが、総士は満足そうにこう告げる。 「今度は……僕も楽しませてくれるね?」 そのまま、彼は一騎の内に埋めた指をうごめかす。 「やっ……」 言ったばかりの体にその刺激はつらい。 だが、もっととねだる自分がいることも自覚している。 そのまま一騎は、総士が与えてくれる快感に身をゆだねた。 |