始まり「ネオ!」 自分たちの上官の部屋へと足を踏み入れようとドアを開けようとする。だが、珍しいことにドアはロックされていた。 「……なんだよ」 気に入らない、とアウルは眉を寄せる。 少なくとも、今まで彼はそんなことをしたことはなかった。自分達は無条件で彼の部屋へ足を踏み入れることが許されていたのに、とさらに眉間のしわを深める。 同時に、ここであきらめてたまるか、と思う。 彼が入れてくれないなら、強引にでも入ってやる。 この決意とともに、アウルはロックの解除をし始めた。それも、自分に求められた技量の一つだ。そして、上達すれば彼はほめてくれた。彼のその言葉がほしくて、自分ががんばったのは事実。 その成果を、改めてこうして見せつけてやる。 この思いがアウルの中で大きくなっていた。思わず、本来の目的を忘れてしまいそうになってしまったほどだ。 「開いた!」 ロックと格闘をし始めて数分後、どうにかこうにか、ロックをはずすことができた。 「……文句を言ってやる……」 自分を閉め出したことを、ネオに……と呟きながら、アウルはドアを開け、中に滑り込んだ。 「やぁっ!」 その瞬間、目の中に飛び込んできた光景に、アウルは思わず凍り付いてしまう。 ネオが仮面をはずしている。 その事実だけでも信じられないのに、その膝の上には一人の少年が抱え上げられていた。それだけならまだしも、彼は身になにもまとっていない。そして、その後ろをうがっているのは、ネオの欲望だろうか。 「……やめっ、て、ください……」 大きく体を揺さぶられながら、少年が言葉を口にする。 「やめていいのか?」 だが、ネオはからかうようにこう囁くと、さらに動きを激しくした。 「もう、こんなだぞ?」 同時に、彼は少年の中心へと指を絡める。 「あっ……あぁぁっ!」 少年の体が、ネオの上で大きくはねた。 うっすらと上気した肌を汗が伝い落ちていく。 「……やっ……」 びくびくと震える指が、ネオの制服をつかむ。そして、彼の唇が何かをねだるかのように小さく動く。だが、残念なことに彼がなんと言っているのか、アウルにはわからなかった。 「いい子だな、坊主は」 だが、ネオはうれしそうに笑う。 「もっと、よくしてやるよ」 その表情のまま、彼はこう囁いた。 そして、何気なく、顔を上げる。 次の瞬間、ネオの瞳がアウルのそれとぶつかった。 「……ごめん!」 反射的にアウルはこう告げると身を翻す。そして、そのまま転がるように彼の部屋から出て行った。 彼らがしていた行為が何であるのか、アウルにだってわかっている。しかし、どうしてネオがよりにもよって《少年》を相手にしているのか、それまではさすがにわからない。 「……あいつ……」 だが、それよりも何よりも、彼が何者であるのかを知りたい。アウルはそう思う。 「艦内じゃ、見かけたことがないよな」 と言うことは、ガーディー・ルーのクルーではないのだろうか。 しかし、それでは、彼がネオの部屋にいること自体おかしい。 それとも、自分の錯覚だったのか……とも思うが、それはないと自信を持って言い切れる。と言うよりも、あれが現実であってほしいと思う自分がいることにアウルは気が付いていた。 「……でも……」 きれいだった、と小さな声で付け加える。 ネオにふれられて感じている様子は同じ男とは思えないほどに……と。同時に、別の感情がわき上がってくる。 目を閉じた瞬間思い浮かぶのは、あの上気した肌だ。 「あれ、さわってみたいな……」 自分が同じようにふれられたいのではない。あの肌に触れてみたいのだ、と口に出してからアウルは気が付く。そのとき、どのような感覚が自分を襲うだろうか。そんなことまで考えてしまう。 「それに関しては、許可できないな」 不意に背後からこんな声が追いかけてくる。あわてて視線を向ければ、制服を着崩したまま――それでもしっかりと仮面は身につけている――のネオが立っていた。 「……ネオ……何で……」 「何でじゃないだろう? わざわざ厳重にかけていたロックをはずしてくれたんだ。その理由を確認したいと思ってはいけないのか?」 あんな場面に踏み込んでくれたことだし、そのお仕置きもしようかなと思っただけだ、と彼は口元に笑みを刻む。 「その上、人の物に横恋慕までしてくれたとなれば、やっぱりお仕置きだよな」 こう呟く彼の口調は、今までアウルが耳にしたことがない響きを含んでいる。 「……横恋慕?」 だが、それよりもこの言葉の方がアウルには引っかかった。 「俺はただ……あいつが……」 気持ちよさそうだったから……と。 あの表情をもっと見ていない気になっただけなのだ、と口にする。それは相手に《恋》をしているのとが違うのではないだろうかと思うのだ。 「……要するに、お前もガキだって事か」 さて、どうしたものかね……とネオは口元に手を当てながら呟く。 「まぁ、これだけは決定しているが……」 彼は視線をアウルに向けながら付け加える。 「お前は、当分……俺の部屋には立ち入り禁止だな」 それ以外のことはその間に考えよう、と宣言をする彼に、アウルは思わず恨めしそうな視線を向けてしまった。 そのことがショックだったのだろうか。 アウルは他の二人にもおかしいと思われるような行動をとっていたらしい。それでも、何とかなっていたのは、自分たちの中に蓄積されていたものがあったからだろうか。 そんなある日のことだった。 「……ザフトの新型?」 彼らの元にこんな情報が飛び込んでくる。 「お前ら、それ、もらってこい」 軽い口調でネオがこう命じてきた。それに関して文句があるものは誰もいない。と言うよりも、ようやく任務を任されたのか、と高揚感すら覚える。 そんな三人をどう思っているのだろうか。 ゆっくりと視線を動かす彼の表情はその仮面で見えない。 だが、アウルの上で彼は視線を止めると、意味ありげに唇を持ち上げた。 『きちんと任務をこなしたら、坊主にさわることだけは許してやるよ』 終
04.11.07 up と言うわけで、ネオキラ←アウル第一弾……です。この続きはいつか裏に。読みたい方がいればですが(苦笑) しかしネオキラだとエロが書きやすいです。何故? |