一応終戦後……会話の後でしょうか。課題「……で?」 どうして、自分が部屋を追い出されなければいけないのか……とアスランはキラをにらみ付ける。彼の背後には元は自分の部下だった二人の姿があった。 「その方が落ち着けるかなって……二人がそういうから」 だから、部屋替え、とキラは微笑む。 「……キラ……」 どうして、彼はこうなのだろうか。 というよりも、どうして自分と敵対していた相手の言葉を、そうも簡単に受け入れてしまうのか、とアスランはため息をつく。 それがキラなのだ……と言ってしまえば、それだけかもしれない。だからといって、そんなに無条件に信用していいのか、とも思う。 「それに、その方がみんなが安心するでしょう?」 キラはさらに笑みを深めるとこう付け加える。 「彼等が暴れないように、僕とアスランとで見張っていられるだろう? 二人いっぺんは無理でも一人ずつなら何とかなるだろうし」 そう言うことだけはわかっているのか、とアスランは心の中ではき出す。 「だったら、いっそ、営巣にでもつっこんでおけ!」 「……それ、ないよ」 しかし、キラはあっさりとアスランの言葉を否定してくれる。 「ない?」 昔、ディアッカが入れられていたのだから、アークエンジェルにもあったはずだ。それなのに、キラは『ない』という。それはどうしてなのか、とアスランは思わず問いかけてしまう。 「前があったんだけどね、今はないんだ」 その代わりに、温泉施設を作ったから……と言われて、アスランは頭を抱えたくなる。 「だからネオさん――ムウさんも、医務室で拘束されてたんだよ」 あれは、彼がケガをしていたから……じゃなかったのか。初めて聞かされたその事実に、信じられないと呟いたとしても誰もとがめないだろう。 「アークエンジェルが出航するときは、きっと、オーブにいられなくなるような状況になったときだろうし、だったら、少しでも居心地がいい方がいいだろうって、ラクスとマリューさんが」 元凶は、やはりあの二人だったか。 だからといって、うかつに文句も言えないことはわかっている。 「そう言うことだから、アスランはシン君の面倒を見てね」 ルナマリアに関しては、ミリアリアが責任を持ってくれると言っているし……とキラは付け加えた。 「……キラ……だったら、そいつらをひとまとめにして、部屋にロックをかけておけ」 それなら、簡単に拘束できる。第一、その二人は元々同室だったんだぞ、とアスランは主張をした。 「それじゃ、仲良くなれないじゃない」 少しでも交友関係を広げていくことが重要じゃないか、とキラは真顔で言い返す。そのまま、シンとレイに同意を求めれば、二人とも信じられないくらい可愛らしいそぶりで頷いていた。 「それに、もう、みんなの許可はもらってあるから」 報告をしているだけだ、とキラは言い切る。 どうせ、根回しをしたのはレイの方だろう。シンには、ここまで計画を立てることは無理だと言っていい。 一番の敵は相変わらず彼なのではないか。 アスランはそう判断をする。 そんな彼の毒牙からキラを守るにはどうすればいいのか。それがこれからの一番の課題かもしれない。同時に、最大の難関か。 それでも、キラを見捨てるわけにはいかない。 他のことならばともかく、これに関してだけはキラはものすごく鈍すぎる。だから、自分がキラを守らなければいけないのだ。 アスランは心の中で決意を新たにしていた。 ちゃんちゃん
05.12.11 up レイは絶対、暗躍をするタイプ。わかっていても、それに踊らされるのがシンで、振り回されるのがアスランでしょう。キラは……わかっているのかいないのか、微妙なところではないか、と。 ちなみに、天使湯の場所は適当です。潰してもかまわない施設というとあそこぐらいかなぁと(^^; |