秘密の地図を描こう
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すぐにモニターにアスランの姿が現れる。
『……とりあえず、元気そうだな』
その瞬間、彼はこう言った。
「みんなげんきだけど……何?」
時間があまりない、と言外に告げる。
『わかっている。とりあえず、例の建造物に関するデーターをそちらに送りたい。モルゲンレーテの技術者の意見を聞きたいそうだ』
かまわないか、と彼は言ってきた。
キラはそれに一瞬だけ視線を横にずらす。そうすればラウやバルトフェルドがうなずいているのがわかった。
「それは、大丈夫だと思うよ」
確かに、それがあれば後々動きやすい。
『なら、ニコル宛に送る』
「了解」
それが一番無難だろう。そう判断をしてうなずく。
『それと、あと十五分ほどで俺たちもそちらに着く。その際、出撃することになるだろう』
覚悟しておいてくれ、と彼は言った。
それに何と言い返せばいいのか。
「……お前こそ、撃ち落とされないようにしろよ?」
だが、キラの代わりにカガリが顔を出すとそう言った。
「お前にはそうされても仕方がない理由があるしな」
そうだろう、とカガリは笑う。
『好きにしろ……』
は明記とともにアスランは言い返してくる。
「とりあえず、民間人には被害をだすな。セイランが避難勧告を出していないことは確認してあるからな」
できれば、軍人達にも被害はだしてほしくはない。しかし、そうは言えない、と言うこともキラもわかっていた。
『できる限り気をつけるように指示を出すが……100%は無理だぞ?』
自分達の実力では、と彼は言い返してくる。
「わかっている」
不本意だがな、とカガリはため息をついた。
「ともかくだ。ジプリールさえあぶり出せばいい。そう言うことだな?」
さらに彼女は確認の言葉を口にする。
『とりあえずは、な』
後は適当なところで追い返してくれればそれでいい。彼はそう言ってうなずく。
『とりあえず、連絡は入れたからな』
そろそろ出撃準備をしないとまずい。アスランはそう言ってきた。
「さっさと出撃して撃墜されろ」
それにカガリはこう言い返す。
『では、また後で』
彼女の言葉をさらりと受け流すと、彼は通話を終わらせた。
「こちらもそろそろ出撃の準備をした方がいいね」
意識を切り替えるとキラはそう言って微笑む。
「そうだな」
それにカガリもうなずく。
「とりあえず、軍部を掌握するぞ」
そして、ジプリールの身柄を確保する、と彼女は続けた。
「そうすれば、今回の戦争は終わるはずだ」
彼女の言葉は希望ではないと思う。だから、とキラは小さくうなずいてみせる。
「では、行くか」
バルトフェルドがそう言う。それを合図に彼らは行動を開始した。