秘密の地図を描こう

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「それで? お前たちは何に気づいている?」
 ここには自分しかいないぞ、とバルトフェルドが問いかけてくる。それに同答えを返そうか、とキラは悩む。
「必要がなければ誰にも漏らさない。俺の口が堅いことはお前も知っているだろう?」
 さらに彼はこう言ってきた。
「かまわないのではないかな? 彼もあれとは戦った経験があるのだろう?」
 そうでなかったとしても、その操縦の癖のようなものを知っているのではないか。自分達のようにその存在を感じ取れないまでも、目にすれば判断できる可能性は否定できない。
 ラウがそう言ってくる。
「……何の話だ?」
 意味がわからない、とバルトフェルドが聞き返してきた。
「あちらに、ムウさんかそれに近しい人が存在している可能性がある、と言うことです」
 自分とラウはある程度近づけばその存在を感じ取れる。
 以前にも一度、それを感じたことがあったから……とキラは言った。 「そういえば、鷹さんも似たようなことを言っていたな」
 思い出した、とバルトフェルドはうなずく。
「もっとも、それはそっちの奴だけだったが……キラも同じだとは」
 さらに彼はこう呟いた。
「キラも私も、個人的因縁があってね」
 そのせいだ、とラウが言う。
「もっとも、それがどうしてなのか。説明できる方はこの世にはいないがね」
 ギルバートにも解明できなかったことだ、と彼が言葉を重ねる。
「あの議長殿でもか」
 確かに、理屈はわからないが使えると言うことはあるな……と彼はあっさりとうなずいて見せた。
「しかし、そうだとしてどうするんだ?」
 そいつを、と問いかけられる。
「もし違ったとしても、あって話をしてみたいです」
 何故と言われても困る。ただ、そうしたいだけだ。
「僕もカガリのことはあれこれいえませんね」
 苦笑とともにそう続けた。
「それがうまくいくとは限らないぞ?」
「わかっています。でも、話をしないとわからないこともありますから」
 アスランともラウとも話し合うことで関係を修復できた、とキラは続ける。
「それに関しては同意せざるを得ないな」
 自分もそうだし、とバルトフェルドはうなずく。
「何よりも、それがそんな風に誰かのフォローに回る人間だとは思わなかったしな」
 もっと、他人を道具のように使う人間だと思っていた。そう言われてラウは苦笑を浮かべる。
「否定はしませんよ。少なくとも、三年前までは」
 あの頃の自分には時間がなかったから。その言葉に隠されている意味にバルトフェルドは気づくだろうか。
「今考えれば、馬鹿馬鹿しいことですがね」
 そう考えられるようになったのはキラのおかげだが、と彼はさりげなく付け加えた。
「……なるほど」
 納得した、と言うようにバルトフェルドはキラの顔を見つめてくる。
「あの……」
 いったいそれはどういう意味なのか。そう思わずにはいられない。
「性格に難はあるとはいえ、実力だけは確かだからな。こき使わせてもらおう」
 カガリのおもりだけでも厄介そうだから、と彼は笑った。
「まぁ、仕方がないだろうね」
 ため息とともにラウもうなずく。
「しかし、お前、使うのはあの機体でいいのか?」
 バルトフェルドはそう問いかけてきた。
「下手にザフト製の機体を使うわけにはいきませんからね」
 オーブ製でも使えればいい。しかも、あれはザフトの開発局がしっかりと手を入れてくれている。だから、性能を引き出せないとすれば自分のせいだ。そう言って苦笑を浮かべる。
「可変式は、まだなれませんのでね」
 ならば、多少旧式でも確実に使えるとわかっている方がいい。
「まぁ、あの男がいずれ何かを押しつけてきそうですがね」
 自分だけではなくバルトフェルドにも、と彼は続けた。
「そういえば、四つ足がいたな」
 自分も使い慣れている方がいいのだが、とバルトフェルドは呟く。
「伝えておきましょう」
 まじめな苦笑でラウがそう言った。

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最遊釈厄伝