秘密の地図を描こう

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「……それで?」
 ミゲルからその話を聞いたニコルが冷たい口調で続きを促している。
「どう責任をとるつもりですか?」
 さらにこう問いかけられて、ミゲルは視線をさまよわせた。
「……一回ぐらいなら、僕が相手をしても……」
「だめです!」
 キラの提案をニコルが即座に否定する。
「それじゃ、キラの負担が増えます」
 本当は、レイのことも認めたくはないのに……と彼は言う。
「……過保護」
 ミゲルがぼそっとそう呟く。
「何か言いましたか?」
 聞こえているはずなのにこう問いかけるから怖いと感じるのだろうか。
「キラだって、少しは気分転換したいだろう、ってことだよ」
 閉じこもってばかりいるんだから、とミゲルは果敢に言い返す。
「それに、シミュレーションだろう? 直接顔を合わせるわけじゃないんだから、ばれる可能性は低い。念には念を入れて、俺たちもつきあえばいいだけだ」
 軍から暇人を連れてきたと言えるだろうし、と彼は続ける。
「……いっそ、イザーク達を引っ張り出すのも楽しくね?」
 キラの部屋からだけではなくあちらからもシミュレーターにアクセスできるかどうかを確認してみたい気がするし、と言う。
「そうすりゃ、イザークのいらいらも少しは収まるような気がするしな」
 彼はさらに言葉を重ねる。
「まぁ、イザークの相手をできるのはディアッカぐらいですからね。でも、それよりも本国に帰ってきたときの方がよくないですか?」
 協力させるなら、とニコルは言い返す。
「それだと、キラのことがばれた時が怖いだろう?」
 任務中であれば押しかけてこられる可能性がない。ついでに戻ってくるまでに頭が冷えているのではないか。
「間違いなく、矛先が向くのは俺らだからだな」
「それは否定しませんが」
 と言うよりも、彼の性格なら十分あり得る……とニコルもうなずく。
「だろう?」
 だから、とミゲルはさらに言葉を重ねた。
「協力よろしく」
 にっこり笑ってそう言う彼はさすがなのかもしれない。
「……仕方がありませんね」
 妥協しましょう、とニコルはうなずく。
「それにしても、あの二人には要注意かもしれません」
 レイの行動だけで推測をするだけではなく、ミゲルに突っ込んでくるとは……と彼は続けた。
「確かに、お前と俺じゃ、俺の方が話しやすいのか」
「と言うより、あなたがうかつなだけでしょう?」
 ミゲルのセリフにニコルが即座に突っ込みを入れた。
「……そんなことはないよな?」
 ミゲルは視線を向けるとキラに同意を求めてくる。
「えっと……」
 それに何と言えばいいのか。キラは本気で悩む。
「うかつって、どのレベルまで行けばそう言っていいの?」
 何と言っても角が立ちそうだから、とこう問いかけることにした。
「……キラ?」
「なんて言うか……そのあたりの常識がずれているみたいで……よく怒られたから」
 アスランに、と付け加える。
「そうなんですか?」
「そう。だから、自信がないんだよね」
 苦笑とともにそう告げれば、二人は何かを考え込むような表情を作った。
「とりあえず、キラを巻き込もうとしたミゲルが悪い、と言うことですね」
 ニコルがそう結論づける。
「何だよ、それは」
「そう言うことですよ」
 なんか、別の火種を投げ込んでしまったような気がするのは錯覚だろうか。
「……メールのチェックでもしよう」
 現実逃避というわけではないが、と思いながらキラは視線をどうさせる。そうすれば、モニターにメール着信のアイコンが確認できた。
「ギルさんからだ」
 差出人を確認すれば、忙しいはずの相手からのものだった。
「何かあったのかな」
 いやなことでなければいいけれど、と思いながら、キラは中を確認するためにメーラーを立ち上げた。

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最遊釈厄伝